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映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』 The Outrun シアーシャ・ローナン

映画

シアーシャ・ローナン主演の『おくびょう鳥が歌うほうへ』という映画を観た。
監督は長編劇映画デビュー作『システム・クラッシャー』(2019年)が話題となった、ドイツ出身のノラ・フィングシャイト。

シアーシャ・ローナンが演じるロナはアルコール依存症となり、恋人も仕事も失いロンドンからスコットランドはオークニー諸島にある故郷に帰る。
厳しい自然の中での断酒。
家族との関係も一筋縄ではいかない。
募る寂しさはアルコールに対する渇望をも呼び起こす。
というかアルコールへの渇望は消えることがないんだろう。
いかに深いところに眠らせておくことが出来るかということではないだろうか。
だとしたら相当辛いこと。
一生の付き合いとなるから。

終盤の海辺のシーンで、ロナは魂を解放し躍動する。
酒の力を借りることなく。
アルコールによる解放と躍動は、感覚を麻痺させ自分自身を壊した状態でのもの。
躍動や解放と言うよりは、自己破壊に近いものかもしれない。
しかし、あの海辺のロナは自分自身を失うことなく解放と躍動を感じ体現することが出来た。
これは彼女の成長の証である。
最初は逃げ場でしかなかった海など島の自然環境であったが、あの場面では向き合い並び立つことが出来るようになっている。
彼女の今後がどう進んでいくかは分からないが、
その後のラストシーンも含め未来への希望を感じさせる結末だった。

描かれるのは絶望的な現実がほとんどを占める。

でも人生なんて、その大部分が絶望的な気持ちにさせられるもの。
だが、わずかな希望を感じることが出来たなら人は生きていける。
前に進むことが出来る。

そんな映画だと思う。
克服することが出来、再生し解決したという物語ではなく。
そこに僕は心を寄り添わせる。

この映画の原作は、エイミー・リプトロットによる回想録『THE OUTRUN』。
著者自身のアルコール依存症からの回復とスコットランドの故郷(オークニー諸島)での再生の旅を描いた作品で、イギリスにてベストセラーとなったが、残念ながら邦訳されたものは出版されていない。
『The Outrun』英語版ペーパーバック(amazon)

自然いっぱいのオークニー諸島、行くなら暖かい季節が良いな。

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