今年のアカデミー賞は、復活というテーマが体現されていたように思う。
もちろん結果としてだけど。
受賞者のスピーチも良かった。
特に主演女優賞を獲得したミシェル・ヨー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)の「わたしのような容姿をした少年・少女たち~」と呼びかけるスピーチは感動的だった。
ウィル・スミスの事件があった去年とは打って変わった授賞式。
あの件でのウィル・スミスへの風当たり、アメリカではかなり強いようだが、個人的には早く復活して欲しいなと思っている。
そこで今日は、そんなウィル・スミスが主演した作品の中から『コンカッション』という実話を基にした映画を紹介したい。
彼の主演作の中では、それほど有名でないかもしれないけど、これとても良い映画。
オススメでございます!
彼が演ずるは、医師で検視官のベネット・オマル。
ある日彼は、引退したアメリカン・フットボールの元スター選手マイク・ウェブスターの検死解剖を行う。
そこで彼は、死因に不審な点があることに気づく。
これは実話を基にした物語。
オマル医師は、マイク・ウェブスターの死因が選手時代に受けたタックルによる脳へのダメージだと論文で発表する。
しかしNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)はこの事実を認めようとせず、逆に彼に圧力をかけてくる。
大きな組織や企業が、その莫大な利益を守るために、人の命さえ蔑ろに出来てしまう恐ろしさ。
この映画が事実であるということが、さらに恐ろしい。
そしてこの問題は今まだ完全なる解決がなされていない。
オマル医師はアメリカに憧れていたナイジェリア人。
彼が夢見たアメリカ、そして実際のアメリカ。
のちに彼はアメリカの市民権を得る。
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アメリカのスポーツはとても面白い。
ゲーム的な面白さを大切にしていて、その分ダイナミックなエンターテイメントがさく裂している。
動くお金も莫大だ。
それゆえに、時に選手の健康は蔑ろにされ、消耗品として粗雑に扱われる。
そしてそれはいつでも替えがきくもの。
まるで生贄のような存在ともいえる。
富も名声もない人間には生贄が必要なのも事実。
だが健康第一であってほしい!