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ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』アニャ・テイラー=ジョイ (Netflix)

ドラマ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による、ティモシー・シャラメ主演映画『デューン 砂の惑星 PART2』が3月14日より公開される。
この作品には、アニャ・テイラー=ジョイが出演していると公開近くになって発表された。
そこで今回は、僕が彼女の存在を知ることになったNetflixオリジナルドラマ『クイーンズ・ギャンビット』を採りあげたい。

ドラマの舞台は1950~1960年代。
アニャ・テイラー=ジョイ演じる主人公ベス(エリザベス)は、母親と一緒に乗った車が大破、自分だけが生き残る。
9歳だった彼女は養護施設に入所。
そこで用務員のシャイベルを通じチェスに触れ、その才能を開花させる。
そして13歳になった頃、ベスは養父母に引き取られ、施設での唯一の友人だったジョリーンに別れを告げ、その後チェスの大会に出場し、世間に天才的な才能を認めさていくのだが...

チェスが中心となって物語を引っ張っていくが、チェスのルールなど分からなくても何の問題もない。
僕はチェスについては全くの無知で、並べ方や駒の名前も分からない。
しかし全く問題なく、このドラマを楽しむことが出来た。

結論から言うと、とても面白く、多くの人に是非ともオススメしたい作品である。

現在以上に息苦しい社会における女性の立ち位置、米ソの対立という時代背景の中で、人間としての未熟な部分やトラウマを抱えながら生きる天才少女ベスの成長物語。
60年代のファッションも満載。
60年代の中でも、どんどん移り変わっていく。
トレンドよる変化に加え、ベスの心情の移り変わりによる変化も見受けられる。
ファッション好きな女性には、この辺りも特に楽しめるのではないだろうか。
全体的に描き方はスタイリッシュだ。
これもこのドラマの魅力のひとつ。
見せかたのテンポも良い。
チェスのシーンは多いが、その見せかたの上手さで、チェスが全くわからない僕のような人間にもリズミカルに物語の中に溶け込んでいける。
勝負がどのように進んでいるか、勝敗の行方などはベスの表情が教えてくれる。
これが演技というもの。

『ジョーカー』で刑事役として出演していたビル・キャンプが演じた、ベスにチェスを教えた用務員のシャイベルがいい味をだしていた。
用務員のシャイベルは単なるチェス教師以上の存在で、彼の温かさと慈悲がベスにとって人生の転機となる。
二人の関係性は、このドラマの中でも最も胸を打つポイントである。

出会いは嫌な感じだったが、後にベスを心配して助けてくれるハリー役には、『ハリー・ポッター』シリーズでのダドリー・ダーズリー役が有名なハリー・メリング。

これまたベスを助けてくれる、NYの強豪チェスプレイヤーのベニー役は、『ラブ・アクチュアリー』で恋する少年サム(ドラムを叩いていた子)を演じていたトーマス・ブロディ=サングスター。
この人、そのまま大人になった感じで基本ほとんど変わっていない。

きめ細かくきっちり描き切るというより、曖昧なままであったり、含みを持たせたような作りにもなっている。
だがその部分がネガティヴな要素と感じることはない。
そういうタイプの作品ではないからだ。

このドラマの最大のキモは、何と言ってもベスを演じたアニャ・テイラー=ジョイの魅力。
描き方が優れているのはもちろんだけど、それも彼女の魅力あってのものだと思う。

あからさまに壊れそうな希望が感じられない弱々しい感じの、子ども時代のベスを表現したアイラ・ジョンストンの演技も良かった。

またこのドラマの持つ重要な点のひとつとして、1960年代の性別に対する期待とその時代の女性の立場を通し、ベスの物語はただチェスの天才というだけでなく女性の自立と自己実現の象徴として映し出されている。
その部分でも感じるべきところは多いと思う。

人気・評価ともに高い海外ドラマはたくさんある。
だが海外ドラマは、人気の続く限りロングランでシーズン継続されるものが多く、なかなか途中から観始めるのに時間的な観点から思い切りがいったりする。
しかし、この作品はリミテッド・シリーズなので全7回。
Netflixには面白そうなドラマがあるけど何から観たらいいか決めかねているという人には、そのこともありこの作品を特にオススメしたい。

今後は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でシャーリーズ・セロンが演じたシタデルの大隊長の女戦士フュリオサの若き日を描いた主演映画『マッドマックス:フュリオサ』公開も控えているアニャ・テイラー=ジョイ、今年も大活躍間違いなしのようだ。

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