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映画『へレディタリー』『コーダ あいのうた』 ~「Both Sides Now(青春の光と影)」ジョニ・ミッチェル

映画

最近映画を観ると目にする機会が増えてきた”A24″のロゴ。

A24は、映画の製作や配給を行っている2012年設立された新進気鋭の企業。
個性的なエッジの効いた作品を多数発表しており、日本でも映画ファンから大きな支持を集めている。
最近の作品だと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』や『ザ・ホエール』が思い浮かぶ。
日本でのA24の知名度を上げるのに大きく貢献したのは2019年の『ミッドサマー』ではないか。
ホラー映画でありながら、僕の肌感覚では女性映画ファンの支持が大きいように感じた。
ぼく個人の好みでいうと、A24のホラーなら同じアリ・アスター監督2018年の映画『ヘレディタリー 継承』の方が推しだったりするが(『ア・ゴースト・ストーリー』も好きだが、これはホラーという感じではないと思っている)。

さて今日の主題は、A24でも、『ミッドサマー』でも『ヘレディタリー』でもない。
『ヘレディタリー』のエンディングで流れた「Both Sides Now(青春の光と影)」という曲について、これが今回のお題である。
使われたのはジュディ・コリンズが歌う1968年のヒット曲。
ホラーな展開で本編終了してからの、明るいこのポップソングが流れるエンディング。
歌のテーマも、ヴォーカルやサウンドを含めた曲調もすべて、絶妙なハマり具合だったと思う。


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この曲を作ったのはジョニ・ミッチェルで、自身の1968年発売のアルバム『Clouds(青春の光と影)』にも収録されている。

その後多くのアーティストが同曲をカバーしている。
フランク・シナトラ、ビング・クロスビー、ウィリー・ネルソン、スタン・ゲッツ、ドリー・パートン、ハービー・ハンコック、アン・サリー、カーリー・レイ・ジェプセン等々その他多数。
名曲だもんね。

ジョニ・ミッチェル自身も、2000年発売のアルバム『Both Sides Now(ある愛の考察~青春の光と影)』でリメイクしている。
このヴァージョンは映画『ラブ・アクチュアリー』で印象的な使い方がされている。

とても好きな映画『ラブ・アクチュアリー』。
数組の恋の物語を中心に様々な人間模様を描いた群像劇だが、このアラン・リックマンとエマ・トンプソン演じる夫婦の物語だけはとても悲しい。
他にも上手くいかない恋のエピソードはあるが、それらはまだ心を温かくさせてくれるものがある。
でも、これはなぁ….
どう考えても旦那が酷い。


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そもそも楽曲として素晴らしい「Both Sides Now(青春の光と影)」。
色んな人のヴァージョンを聴いたが、どれも良い。
でもやっぱり一番良いと思うのは、作者であるジョニ・ミッチェルの、それもリメイクされた上述の『ラブ・アクチュアリー』で用いられたヴァージョン。
胸に強く響いてくる。


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そういえばこの曲、実はミスター・スポック(レナード・ニモイ)も歌っている。

ジョニ・ミッチェルのヴァージョンが好きだと書いたが、『ヘレディタリー』に関してはジュディ・コリンズの方が合っているのは、その映画の内容と打って変ったポップさが、じわっと恐怖感を持続させたまま忍び込んでくるから。
つまり、恐ろしい後味をしっかりと残す効果を、抜群に発揮しているのだ。

また劇中で使われる同曲なら、『コーダ あいのうた』で主人公がこの曲を歌うシーン。
これもまた最高に素晴らしい。
思わず涙してしまった。

この映画は是非多くの人に観てほしい。
だがアカデミー賞作品賞を獲ったにもかかわらず、案外観られていない。
アカデミー賞というのは刺さらないのかな。
例えば『ヘレディタリー』は、ホラーということもあり観る人を選ぶと思うが、『コーダ あいのうた』は間口の広い作品なのでもっと広がってほしいものである。


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ちなみにどちらも家族の物語。
『ヘレディタリー』の方は、突き詰めるとアニーとエレンの親子の戦いの話とも言えるか。

ところでジョニ・ミッチエルに関してだが、『あの頃ペニーレインと』の監督であるキャメロン・クロウが彼女の伝記映画を現在制作中だという。
これは楽しみである。
そこでもきっと、「Both Sides Now(青春の光と影)」が聴かれることだろう。
聴けないかな?
聴けるだろう。
さて、どのヴァージョンなんだろう?
本人かな、別の人かな??
どんな名曲でも、映画で使われる場合はどのように用いられるかで聴こえ方が変わってくる。
そこは監督のセンスの見せ所。
バッチリとハマれば、最高の瞬間となる。
映画での音楽の使い方はとても重要。
大の音楽ファンでもある僕は、音楽使いの素敵な映画にとても弱い。

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