『コーダ あいのうた』大好きな映画なんだが、意外にも(驚くほど意外にも)観た人・語れる人が周りにいない。
何故!?(涙)
先日今年のアカデミー賞各賞のノミネート発表が行われた。
今から3月13日(日本時間)に行われる授賞式が楽しみである。
さて昨年のアカデミー賞では、『コーダ あいのうた』が予想を覆し作品賞を受賞(作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門受賞)。
当初本命とされていたのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。
とても素晴らしい作品で、僕もこれが獲るだろうなと思っていた。
懸念材料としてあったのは、Netflix映画だということ。
配信作品がこれまで作品賞を獲ったことはなく、それがネガティヴな要素だった。
そこでひそかに僕は、大穴ではあるけれどまさかの『ドライブ・マイ・カー』受賞なんてのも期待していた。
受賞にふさわしい作品だと思っていたから。
そしていざふたを開けてみると、作品賞を受賞したのは『コーダ あいのうた』。
アカデミー賞が近づくにつれ勢いを増し、もしかしたらという空気を感じさせていたが、ここに見事受賞となった。
この作品、何故か日本では劇場公開作品となっているが、Appleが配給権をもっておりアメリカなどではアップルTV+で配信されている。
というわけで、ついにアカデミー賞作品賞を配信サービス配給の作品が獲った。
このことは映画界の一つの大きな転換点になったといえる。
主人公ルビー(エミリア・ジョーンズ)は高校生。
家業の漁業を手伝いながら、両親と兄たちと暮らしている。
ルビー以外の家族はみな耳が聞こえず、彼女には家族の通訳という役割もあった。
そんなルビーは学校の合唱クラブに入る。
すると、顧問であるミスターVが彼女の才能に気づく(この先生がとても良いんです!)。
そして彼女に、都会の名門音楽大学の受験を勧める。
しかし、家族で唯一の耳が聞こえるルビーが遠くへ行ってしまうと、家業の漁業に支障をきたしてしまう。
また耳の聞こえない家族には、ルビーが好きなそして大きな才能を持つ歌というものが理解できない。
お涙ちょうだい的な物語と敬遠する人もいるかもしれない。
表層的な感動ものではないが、確かにお涙ちょうだい的でもある。
とはいえやはり泣けてしまうのだ、これが。
中心にあるのは家族愛の物語、また音楽好きの僕には音楽愛も感じられる作品だった。
それ以外にも様々な要素を取り込んでいる。
またそれらは明るく描かれており、そのことからも多くの人にオススメしたい映画である。
ルビーが歌うジョニ・ミッチェルの「青春の光と影(Both Sides Now)」がたまらん。
アカデミー賞助演男優賞を獲った、ロビーの父親役のトロイ・コッツァー、母役のマーリー・マトリン(『愛は静けさの中』にて1987年アカデミー賞主演女優賞受賞)、兄役ダニエル・デュラントは聴覚障碍者。
当初映画の出資者は、マリー・マトリン以外の聴覚障害者の俳優を起用することに抵抗したが、彼女がそれなら降板すると言ったことからキャスティングがこのようになった。
アカデミー賞脚色賞を獲ったのは、監督でもあるシアン・ヘダー。
脚色賞と脚本賞の違いは、脚色賞は原作など基になるものがあった作品が対象、逆に脚本賞はオリジナル・ストーリーを対象にしたもの。
『コーダ あいのうた』は、2014年のフランス映画『エール』をオリジナルとする、リメイク作品。
*原題「CODA」は“Child of Deaf Adults”の略で、ろうの親を持つ子供の意味(また、楽曲や楽章の終わりを意味する音楽記号でもある)。
いくつかの配信サービスでも観られるので、皆さま是非っ!!