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『メメント』 クリストファー・ノーラン作品で一番好きかも<ネタバレあり>

映画

やっと『オッペンハイマー』の日本公開日が3月29日に決定。
今年のアカデミー賞作品賞最有力候補の作品なので、授賞式前までに観たかったのだが残念ながら間に合わなかった。
(授賞式は日本時間の3月11日)
そんなこんなで、というわけでは全然ないが今日は同じクリストファー・ノーラン監督の最初の出世作『メメント』について。

ノーラン作品は好きなのが多い、中でも一番だと思えるのがこの『メメント』もしくは『インターステラー』である。
人に薦めるときは『インターステラー』の方を推すのだが、果たして自分の中で一番はどちらかというと正直甲乙つけられない。
ただこの映画の主人公の生き方には共鳴した。
賛同はしないけど。
こうなるの凄く分かる。

ここからはネタバレを含めて書いていくので、そこのところご了承願います。

公開当時かなり評判だったため劇場に観に行ったのだが、詳しい情報を持たないまま見始めた。
なので2番目のシーンあたりであれっ?
と思いその次のシーンで気づいた、これ時間が逆に進んでいるんだ!と。

主人公のレナード(ガイ・ピアース)は、家に押し入った強盗から受けた外傷により記憶が10分しか保てなくなってしまった。
そんな彼は、その強盗に殺された妻の復讐をすべくまだ捕まっていない犯人を独自で探すことを生きる目的としている。
しかし記憶が10分しか保てないため、重要だと思うことは自らの身体にTATTOOとして残している。
あとポラロイドカメラで写真を撮りそこにメモを残すこと。
それが彼の記憶であり人生なのだ。
そこに残されたことを事件後の人生として理解し、今を生きる。

この映画、繰り返し観ると謎が多くて、いくつも解釈が出来てしまう。

だが今回書きたいのは映画の内容ではなく、主人公レナードの生き方についてなので、内容的な考察は省く。

映画を最後まで観れば分かる通り、レナードはすでに犯人を見つけ殺害していた。
目的は達成されたのだ。
だが、そうするともう彼には生きる意味がなくなってしまう。
愛する妻を失い、自分は記憶が10分しか保てない。
そんな状況で、残りの人生をどう過ごせばいいのか。
そこで彼は考えたのだ、犯人を捜している人生は充実している。
なので一生犯人を追い続けようと。
ゆえに彼は自分の記憶を、人生を捏造する。
この先ずっと犯人を追いかけられるように。
この精神構造というか、考え方は凄くわかる気がする。

人生というのは記憶が作っていると思う。
もしその記憶を自分の都合の良いように自らで作り出すことが出来たなら、人生はとても希望に満ちたものに出来るのではないか。
レナードはテディに、”探偵ごっこ”と言われるが、探偵ごっこの人生は楽しそうだ。
ワクワク度満点じゃないか。
本来の人生が希望のかけらもないものだったとしても、別の人生を生み出せるのである。
映画『マトリックス』のように。
青いピルと赤いピルの話だ。
だがあれはあくまでも仮想現実。
レナードはリアルな人生の脚本を自分で作り上げることが出来る。
(そもそもこの映画が彼のリアルな現実を描いてるかは謎な部分もあるが、文章の趣旨から外れるのでスルーする)

どう生きていくか。
人生をどういうものにするのが良いのか。
そもそも人生とは、生きがいとは。
そんな考えについて、とても刺激される作品。

愛の物語である『インターステラー』も傑作だと思ってるが、『メメント』も同じく素晴らしい傑作だと思う。
なので人気の点では圧倒的に『インターステラー』の方が上回っているのは残念である。
未見の方は是非『メメント』も!

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